棒茶の細い茎と、葉のほうじ茶。急須の中をのぞけば形の違いはすぐに分かります。けれど、この二つが分かれたのは焙煎の前、もっと手前の工程でした。

茎茶や棒茶という言葉の定義、焙じる前からある成分の差、そして茎と葉で違っていた火の条件。表示の基準と産地の資料、二つの報告を順に読んでいきます。

茎茶・棒茶は、仕上げの工程でより分けられた茎のこと

日本茶業中央会の緑茶の表示基準は、「茎茶又は棒茶」を「荒茶の仕上げ工程で木茎分離機などで選別された茶の茎や葉柄を多く含む茶」と定義しています。茎だけ、ではなく「多く含む」。

丸八製茶場(石川県加賀市)によれば、先端から四枚目まで摘む「一芯四葉」のような摘み方をすると、収穫した茶に茎も入ります。蒸し、揉みの工程で葉と茎が分かれ、葉は煎茶や玉露に、茎は茎茶や棒茶になる。地域によっては雁ケ音、白折とも呼ばれます。

名前の指す先は場所によってずれます。同社は、加賀市では「棒茶」が茎を使った焙じ茶を指すことが多いが、全国的には茎を使った緑茶を指すことが多いようだ、と書いています。焙じてあるかどうかが、言葉に入っていたりいなかったりします。

焙じる前から、茎と葉は中身が違っている

丸八製茶場は、お茶の味わいを主にカテキン(渋味・苦味)、アミノ酸(旨味)、カフェイン(苦味)の三つで説明しています。葉のお茶はこの三つが揃い、苦味・渋味・旨味が調和した味がしっかり感じられる。茎のお茶はカテキンやカフェインが少ない反面アミノ酸が多く、苦味・渋味が弱くさっぱりしながら旨味が感じられる。

石川県工業試験場の報告も、焙煎前の茎と葉のアミノ酸量を比べています。アミノ酸は茎に約1.5倍多く含まれていました。茶樹の中のアミノ酸は葉でカテキンに変化すると報告されており、その反応が少ない茎では残るのだろう、という見立てです。

焙煎の香りをつくるピラジン類は、アミノ酸と糖のメイラード反応で生まれます。茎に材料が多いことが、焙じたあとの差の説明として置かれています。